株式会社アイネットテクノロジーズ

あなたの会社は大丈夫?データセキュリティの基本と7つの対策

皆さんこんにちは、代表の上口稚洋です。

近年、情報漏えいや不正アクセスなど、データセキュリティを脅かす事例が増えています。

アサヒグループHDやオフィス用品通販大手のアスクルがランサムウェア攻撃を受け、受注や出荷業務に支障をきたしたニュースは、記憶に新しいのではないでしょうか。

大企業でさえ被害を受けるほど、セキュリティの脅威は深刻化しています。

ましてや、専任のIT担当者が少ない中小企業では、対策が後回しになりやすく、危険にさらされやすいのが現実です。

この記事では、「データセキュリティとは何か」という基本から、今すぐ実践できる具体的な対策を分かりやすく解説します。

データセキュリティとは

サイバー攻撃や情報漏えいのニュースが日々報じられる中、企業にとって「データをどう守るか」は避けて通れない課題です。

ここでは、データセキュリティの基本的な考え方と、守るべき3つの要素を紹介します。

データセキュリティの定義と目的

データセキュリティとは、企業や組織が扱うデジタルデータを「漏えい・改ざん・破壊」などのリスクから守るための取り組みを指します。

これは、情報の機密性・完全性・可用性を確保し、事業の継続や社会的信頼を守ることを目的としています。

また、この考え方は、個人情報保護法やEUのGDPR(一般データ保護規則)など、国内外の法制度とも深く関係しています。

企業におけるデータセキュリティでは、サーバーやストレージ、ネットワーク、アプリケーションといった仕組みを通じて、不正アクセスやデータの破壊・盗難を防ぐことが求められます。

さらに、ハードウェアの物理的な保護やアクセス権限の管理、セキュリティポリシーの策定など、組織全体で取り組む体制づくりが重要です。

データセキュリティの3要素

データセキュリティを支える基本原則は「機密性」「完全性」「可用性」の3つです。これらを総称してCIA(Confidentiality, Integrity, Availability)と呼びます。

 

意味

主な対策

機密性

データを外部に漏らさず、権限を持つ人だけがアクセスできる状態を保つこと。

アクセス制御や暗号化を行い、個人情報・機密情報の漏えいを防ぐ。

完全性

データが正確で、改ざんや破損がなく最新の状態を維持していること。

入力ルールの設定、更新履歴の管理、誤入力や破損防止によってデータの信頼性を守る。

可用性

必要なときにデータを利用できる状態を維持すること。

バックアップの実施や障害発生時の復旧体制を整え、継続的な利用を可能にする。

これら3つの要素がバランスよく機能してはじめて、データセキュリティは成り立ちます。

反対にどれか1つでも欠けると、システム全体の安全性と信頼性が大きく損なわれてしまいます。

データを脅かす主なリスク

どれだけ厳重に管理していても、データは常にリスクにさらされています。

ここでは、企業のデータを危険にさらす代表的な3つのリスクを見ていきましょう。

ランサムウェアなどのサイバー攻撃

最も深刻なリスクのひとつが、ランサムウェアやマルウェアによる攻撃です。

ランサムウェアとは、システム内のデータを暗号化し、復旧と引き換えに金銭を要求する悪質なプログラムのことです。

また、マルウェア(悪意あるソフトウェア)は、偽サイトやメールの添付ファイルを通じて侵入し、情報を盗み取ったり破壊したりします。

攻撃者はシステムの脆弱性や社員の油断を狙って侵入するため、OSやソフトウェアを常に最新の状態に保ち、ウイルス対策ソフトを導入することが不可欠です。

ランサムウェアについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

>>【知らないと危険】ランサムウェアとは?被害事例から学ぶ今すぐできる対策

内部不正

社内の人間による情報漏えいは、外部からの攻撃と並ぶ重大なリスクです。

従業員や関係者が、故意または不注意によって顧客情報や営業データを持ち出したり、改ざんしたりするケースが後を絶ちません。

とくに近年は、アカウント権限の乱用や不正アクセスに加え、リモートワークの普及によって監視体制が行き届きにくくなっていることが、内部不正を招く要因となっています。

>>内部不正とは?よくある手口と企業が取るべき5つの防止策を徹底解説

人的ミス(ヒューマンエラー)

じつは、情報漏えいの多くは従業員の人的ミスによって発生しています。

メールの宛先を間違えたり、誤って別のファイルを添付したり、外出先で端末を紛失したりと、日常の些細な不注意が重大な事故につながることもあります。

さらに近年では、従業員の油断を狙ったフィッシング詐欺や偽サイトへの誘導など、巧妙な手口による被害も増加しています。

データセキュリティがなぜ重要なのか

顧客情報や取引データは、企業活動を支える大切な資産です。

一度でも漏えいや改ざんが起きれば、信用の失墜や多大な経済的損失を招く恐れがあります。

ここからは、データセキュリティが企業にとって欠かせない理由を、4つの視点から詳しく見ていきましょう。

顧客に信頼される企業であるため

適切なデータセキュリティ対策を行うことは、顧客や取引先から「信頼できる企業」と認められる第一歩です。

一度でも情報漏えいが起これば、ブランド価値の回復には長い時間と多大なコストがかかります。

その一方で、データ保護を徹底している企業は、顧客に安心感を与え、新規顧客の獲得や既存顧客との関係強化につなげることができます。

信頼はブランドの土台であり、データを守る姿勢そのものが企業価値を高める要素です。

法的トラブルを防ぎ、リスクに強い組織をつくるため

データ漏えいやサイバー攻撃が発生すると、企業には莫大なコストが発生します。

被害対応やシステム復旧に加え、損害賠償や行政処分、場合によっては刑事罰が科されることもあります。

さらに、日本の「個人情報保護法」やEUの「GDPR(一般データ保護規則)」など、世界的に法規制は年々強化されています。

こうした状況に対応するためにも、法令に沿ったセキュリティ体制を整えることが、企業を守る最善のリスクマネジメントといえます。

企業の成長を支える強い基盤づくりのため

データは、企業の競争力そのものです。

技術情報や営業データが流出すれば、模倣や不正利用のリスクが高まり、企業価値の低下や顧客離れにつながります。

最悪の場合、事業の継続が困難になることも考えられます。

強固なセキュリティ体制を維持すれば、システムの安定稼働が確保され、万が一の災害やサイバー攻撃発生時にも迅速な復旧が可能になります。

こうした取り組みの積み重ねこそが、長期的な競争優位と持続的な成長を支える土台となります。

企業としての責任を果たすため

企業は、顧客・従業員・取引先などの個人情報を安全に管理する法的義務を負っています。

個人情報保護法では、利用目的の明示、安全管理措置の実施、漏えい発生時の報告義務などが明確に定められています。

データを適切に保護することは、企業が社会的責任を果たし、社会から信頼されながら継続的に成長していくための重要な使命といえるでしょう。

まず取り組みたい基本のデータセキュリティ対策4つ

まずは「ここだけは押さえておきたい」基本的な対策を紹介します。

大きな費用をかけなくても、設定の見直しや社内ルールの整備をするだけで、リスクは大幅に減らせます。

「何から始めればいいの?」という方は、まずこの4つを実践してみましょう。

1.多要素認証(MFA)の導入

このリスクを防ぐために有効なのが、多要素認証(MFA)の導入です。

MFAは、従来のID(メールアドレス)とパスワードに加え、ワンタイムコードや認証アプリ、生体認証など複数の要素で本人確認を行う仕組みです。

これにより、仮にパスワードが盗まれても不正アクセスを防ぐことができます。

Microsoft 365では、この多要素認証を無料で利用でき、とくに管理者アカウント(グローバル管理者)には必須の設定とされています。

まずは、二段階認証を有効化し、組織全体でMFAを適用することから始めましょう。

Microsoft 365のセキュリティ機能については、以下の記事で詳しく解説しています。

>>【情シス必見】Microsoft365のセキュリティリスクと今すぐできる5つの対策

2.アクセス権限を明確にする

全社員がすべてのデータにアクセスできる状態は、非常に危険です。

部署や職種ごとに閲覧・編集の範囲を制限し、退職や異動時には速やかにアカウントを削除しましょう。

セキュリティの基本は、「誰が」「どのデータに」「何をしてよいか」を明確にすること。

この考え方を「最小権限の原則」と呼びます。

必要最低限の権限だけを与えることで、内部不正や誤操作による漏えいを防ぐことができます。

また、アクセス設定は忘れがちな作業なので、新しいデータを作成するたびに権限を確認する習慣をつけましょう。

3.定期的なバックアップとリカバリ

データを守るうえで欠かせないのが、定期的なバックアップです。

バックアップとは、重要なデータを別の安全な場所にコピーして保存しておくこと。

サイバー攻撃やシステム障害、自然災害などでデータが失われても、バックアップがあれば迅速に復旧が可能です。

自動化ツールを活用すれば、手間をかけずに定期実施でき、保存先は本体とは異なる物理的な場所(オフライン環境)が理想的です。

さらに、バックアップを取るだけでなく、「データを正しく復元できるか」を確認するリストアテストも定期的に行いましょう。

万一の事態でもすぐに復旧できる体制を整えることが、信頼できるセキュリティ対策の基本です。

4.社内研修とセキュリティポリシーの徹底

どれほど高度なシステムを導入しても、最終的にデータを守るのは“人”です。

従業員の意識が低ければ、メールの誤送信や端末の紛失など、ヒューマンエラーによって簡単に情報が漏れてしまいます。

そのため、定期的なセキュリティ研修を実施し、全社員のリテラシーを高めることが不可欠です。

また、企業として明確なセキュリティポリシーやガイドラインを策定し、「何をしてはいけないか」「トラブル発生時にどう行動するか」を具体的に定めましょう。

これらを社内で共有し徹底することで、情報事故の発生率を大幅に下げ、組織全体でのセキュリティ意識を高めることができます。

より安全性を高めるデータセキュリティ対策3つ

基本的な対策を実践できたら、次は「データそのものを守る」段階へ進みましょう。

ここで紹介する3つの施策は、企業の信頼性をさらに高め、万一の被害を最小限に抑えるために欠かせない取り組みです。

1.データ暗号化

データ暗号化とは、データを特定のルールに従って変換し、権限を持たない第三者には意味のない文字列にする技術を指します。

情報が外部に流出しても内容を読み取られないようにする、最も効果的なセキュリティ対策の一つです。

通信中のデータ(送受信データ)と保存データの両方を暗号化することで、盗み見や改ざんのリスクを大幅に低減できます。

企業では、メール送信時やクラウド上でのファイル保存時にも暗号化を適用することで、より強固なデータ保護が実現します。

2.データの完全消去

データの完全消去とは、専用のセキュリティソフトを使ってストレージ上の情報を上書きし、復元できない状態にすることです。

これにより、廃棄したパソコンやハードディスクから情報が流出するリスクを防げます。

意外と見落とされがちなセキュリティ対策の1つで、使用されなくなった情報がシステム内に残り、情報漏えいや保守コスト増加の原因にもなっています。

定期的な削除ルールを設け、実施記録を残しておくことで、データガバナンスの維持にもつながります。

3.データマスキング

データマスキングは、個人情報などの機密データを保護しながら、安全に業務や開発を行うための技術です。

元のデータ構造を保ったまま、一部の情報を偽の値に置き換えることで、実データを外部にさらすことなく利用できます。

たとえば、新システムの開発やテスト環境で本物の顧客情報を使用すると、漏えいリスクが高まります。

しかし、マスキング処理を施したデータを使えば、機密性を維持したまま安全に検証や開発が可能です。

この技術を導入することで、データ保護と業務効率の両立を実現できます。

データセキュリティに関するよくある質問(FAQ)

ここでは、データセキュリティに関する3つの質問を取り上げ、分かりやすく解説します。

Q1:AI時代に求められるデータセキュリティとは?

生成AIを活用する現代では、従来のセキュリティ対策に加えて、AI特有のリスクにも対応する必要があります。

生成AIでは、入力されたデータが外部に保存・再利用される可能性があり、機密情報の扱いにはとくに注意が必要です。

そのため、企業は以下のような体制づくりを行いましょう。

  • 明確な運用ガイドラインの策定
  • 社員への教育・啓発
  • プロンプト(入力内容)の監視
  • アクセス制御とデータ暗号化の徹底

さらに、自社だけでなく、専門機関によるセキュリティ監視を導入すれば、AI利用時のリスクをより確実に抑えられます。

>>生成AIのセキュリティリスクとは?企業が取るべき6つの対策をわかりやすく解説

Q2:サイバーセキュリティや情報セキュリティとの違いは?

情報セキュリティは、「情報全体」を守るための広い概念です。

その中で、データセキュリティはデジタルデータの保護に特化した取り組みを指します。

たとえば、紙の文書や口頭での情報共有の管理は情報セキュリティの領域ですが、データベースやクラウド上の顧客情報を守るのはデータセキュリティの範囲です。

一方で、サイバーセキュリティはネットワークやサーバーをサイバー攻撃から守ることを目的としています。

それぞれの違いをまとめると、以下のとおりです。

  • データセキュリティ:デジタルデータを「改ざん・破壊・盗難」から守る
  • サイバーセキュリティ:ネットワークやシステム全体を「攻撃」から守る

このように、データセキュリティはサイバーセキュリティの一部でもあり、両者をバランスよく強化することが、企業全体の安全性を高める鍵となります。

Q3:クラウドに保存していれば安全ですか?

クラウドサービスは高いセキュリティ基準で運用されていますが、完全に安全とは言えません。

設定ミスやアクセス権限の管理不備によって、機密情報が第三者に漏れるケースもあります。

クラウドは、サービス提供者と利用者がそれぞれ責任を分担する「共有責任モデル」で運用されています。

そのため、ユーザー側にも以下のような管理が求められます。

  • アクセス権限の適切な設定
  • データの暗号化
  • 共有範囲や公開設定の定期的な確認

クラウドに移行するだけで安心せず、「利用者自身が最後の防衛線」であるという意識を持つことが重要です。

まとめ

データセキュリティは、企業の信頼・業務継続・競争力を支える最も重要な基盤です。

しかし、サイバー攻撃や内部不正、人的ミスといったリスクを完全にゼロにすることはできません。

まずは基本的な対策を徹底し、運用体制を整えて、被害を最小限に抑えましょう。

パスワード管理・多要素認証・アクセス制御・バックアップ体制の整備は、すぐにでも始められる有効な対策です。

「データを守る」意識を全社員で共有し、安全で信頼される企業体制を築いていくことが大切です。

アイネットテクノロジーズ
INET-TECHNOLOGY'S

当社はゼロトラストネットワークを基本に、標的型攻撃訓練から内部不正検知をコンサルティングから導入、SOC、サポートまでワンストップでご提供します。

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また、データカタログ機能を使用すれば、必要なデータを簡単に検索できるため、マーケティング部門は顧客分析やキャンペーン施策の立案をスピーディに展開できます。 さらに、DLP機能を使うことで、顧客の個人情報を適切に保護するルールを設定し、情報漏えいのリスク軽減が可能です。 これらの機能を組み合わせることで、小売業はデータガバナンスを強化しつつ、安全で効率的な業務運営を実現できます。 Q2:Microsoft

【大企業向け】Microsoft 365 ライセンスについて正しく理解できていますか?

アイネットテクノロジーズ 上口 裕樹です。 当社は、Microsoft 365 に関する導入のご支援やコンサルティングなどが主な業務ですが、お客様から「Microsoftのライセンスって名称が頻繁に変わってよくわからない!」、「Office 365 は使ってるけど、セキュリティ対策もMicrosoft で統一できないの?」といったお声を頂戴することがあります。 今回は、知っていそうで実は知らなかった!? Microsoft 365 ライセンスについての組み合わせと、一部機能のご紹介をさせていただきます。 Microsoft 365 とは、お客様のビジネス成長を支援するために提供されているソリューションのことで、大きく4つのカテゴリーに区分されています。本投稿では「大企業向け」ライセンスについて取り上げます。 大企業向けとして提供されているライセンスは以下の3つです。・Microsoft 365 E3・Microsoft 365 E5・Microsoft 365 F3(旧称:Microsoft 365 F1) 大企業向けの Microsoft 365 ライセンスに含まれるサービス内容※E3 / E5 / F3 それぞれで利用可能な機能は異なります。 プラン毎に含まれるサービスと価格(価格は参考) 価格を見て頂くとお分かりかと思いますが、Microsoft 365 E5 が一番上位のライセンスになっています。中にはこのプランを見た時点で、「すでに何を選んだらいいかわからない・・・。」と仰る企業様もいらっしゃいますので、このように覚えて頂くと良いかもしれません。 Microsoft 365 E5:サイバーセキュリティ対策全部盛り Microsoft 365 E3:クラウドセキュリティの決定版 Microsoft 365 F3:ファーストラインワーカー向け いかがでしょうか?Microsoft 365 E5 / E3 / F3 の3つをご紹介いたしました。 ライセンスの組み合わせ方や考え方については定期的に情報発信を行っていきますので、ご参考いただければ幸いです。 尚、今回ご紹介した内容はライセンス名称変更に関するお話ではございません。 Office 365 が Microsoft 365 に名称が変更される?については以下をご参考ください。 ・New Microsoft 365 offerings for small

【情シス必見】Microsoft365のセキュリティリスクと今すぐできる5つの対策

皆さんこんにちは、代表の上口稚洋です。 大企業から中小企業まで、幅広く導入が進んでいるMicrosoft 365。 現代のビジネス環境において、効率化・柔軟性・安全性を支える必要不可欠な業務基盤となっています。 その反面、セキュリティリスクも増大しており、情報システム部門の担当者は頭を悩ませているのではないでしょうか。 この記事では、Microsoft 365に潜むセキュリティリスクと主な機能、そして最優先で取り入れたいセキュリティ強化対策などについて詳しく解説します。 microsoft 365について Microsoft 365は、Officeアプリケーションに加えて、さまざまなクラウドサービスを統合したビジネス向けのプラットフォームです。 利用できる機能はプランによって異なりますが、Word、Excel、PowerPoint、OutlookといったおなじみのOffice製品に加え、Exchange Online、SharePoint Online、OneDrive for Business、Microsoft Teamsなどが代表的なサービスです。(※Teamsはプランによっては別契約が必要) すべてのサービスはクラウドベースで提供されており、インターネット環境があれば、場所や時間を問わずに利用可能です。 オフィスはもちろん、自宅や外出先からでも、PCやスマートフォンなどのさまざまなデバイスを使って作業でき、リモートワークやテレワークを支える強力な基盤となっています。 ただし、クラウドベースだからこそのリスクも存在します。 次の項目では、Microsoft 365に潜むセキュリティリスクついて、詳しく解説します。 Microsoft 365に潜むセキュリティリスク クラウドベースの利便性と引き換えに、Microsoft 365にはさまざまなセキュリティリスクが潜んでいます。ここでは、注意すべき主なセキュリティリスクを紹介します。 不正アクセス Microsoft 365は、クラウドサービスであるため、社内外問わず簡単にファイルを共有できる便利さが魅力です。 しかしその反面、ID・パスワードの漏えいや推測による不正ログインが発生しやすく、機密情報の漏えいや改ざんにつながる恐れがあります。 リモートワークの普及により社外からアクセスする機会が増えた今、不正アクセスによる機密情報の漏えいや改ざんのリスクはより深刻化しています。 情報漏えい SOMPOリスクマネジメントが2023年に実施した調査によると、500社中110社の企業で認証情報の漏えいが確認されました。 この数字は、5社に1社以上(約22%)が何らかの形でアカウント侵害を経験しているという深刻な実態を示しています。 情報漏えいの原因は、外部からのサイバー攻撃だけではありません。 社内での設定ミスや不注意、さらには悪意ある内部関係者による情報の持ち出しなど、内部要因も大きなリスクとなります。 ファイルの共有設定を誤ったり、アクセス権限のないユーザーに情報を公開したりしてしまうと、機密データが第三者に閲覧されるリスクがあります。 内部からの情報漏えいも、企業のセキュリティ対策として見過ごせない課題です。 参考記事:我が国における認証情報の漏洩実態調査(2023年) ウイルス感染やフィッシング攻撃 Microsoft 365を利用する上で、メール経由でのマルウェア感染やフィッシング攻撃のリスクを無視することはできません。 特にメールは攻撃の入り口になりやすく、従業員が不審な添付ファイルを開いたり、リンクをクリックしたりしてしまうことで、被害が一気に広がる恐れがあります。 こうした攻撃は、個人だけでなく企業全体の情報システムに深刻な影響を与えます。 最悪の場合、業務の停止や顧客情報の流出といった重大な事態になりかねません。 内部からの脅威 退職者や内部関係者による情報の持ち出しや悪用など、内部からの脅威も企業にとって深刻なリスクのひとつです。 外部攻撃とは異なり、内部からの不正行為は発見が遅れやすく、気づいたときには被害が拡大しているケースも少なくありません。 内部脅威は表面化しにくいため見落されがちですが、企業の信頼性や事業継続に直結するリスクといえます。 Microsoft 365の主要セキュリティ機能 Microsoft 365には、さまざまなセキュリティリスクから組織を守るための多彩な機能が搭載されています。 ここでは、Microsoft 365に搭載されている主要なセキュリティ機能について、詳しく解説します。 多要素認証(MFA) 多要素認証(MFA)は、アカウント保護において最も効果的な対策です。 パスワードに加えて、電話・SMS・認証アプリなどを使った二段階の認証を行うことで、不正アクセスを強力に防止できます。 外出先やリモートワーク環境からのアクセスが増えている現代において、MFAは必須の対策といえるでしょう。 マルウェア・ウイルス対策 Microsoft 365では、マルウェアやウイルスといった脅威から企業のシステムを守るための、高度なセキュリティ機能が搭載されています。 なかでも代表的なのが「Exchange Online Protection(EOP)」と「Microsoft Defender for Office 365」です。 EOPは、メールから侵入するウイルスやマルウェア、スパム、フィッシング攻撃などを自動で検出・ブロックします。 さらに、Microsoft Defender for Office 365はEOPの機能を強化し、ランサムウェアや標的型攻撃などのより高度な脅威に対応します。 従業員が誤って悪意のあるリンクをクリックした場合でも、これらのセキュリティ機能によって被害を最小限に抑えます。 データ暗号化 Microsoft 365では、データ暗号化が実装されており、保存データと通信データの両方を保護しています。 たとえ誤って情報を外部に送信してしまった場合でも、第三者に内容を読み取られるリスクを大幅に低減できます。 アクセス制限(Entra ID) Microsoft 365では、Microsoft Entra IDなどを活用してユーザー、アプリケーション、グループ単位で細かいアクセス制限が設定可能です。 これは、必要なときに許可されたユーザーだけがアクセスできる仕組みとなっており、不正アクセスの防止に有効です。 IPアドレス制限やデバイス認証、条件付きアクセスなど、より高度な制御を組み合わせることで、さらにセキュリティを強化できます。 データ損失防止(DLP) Microsoft 365のデータ損失防止(DLP)機能は、クレジットカード番号や個人情報などの機密データを自動的に検出し、誤送信や不適切な共有を防止します。 「どのデータがどこにあり、誰がどのように扱っているか」を可視化できるため、情報漏えいの予防・早期発見・対応強化が可能です。 エンドポイント保護(Microsoft Defender for Endpoint) Microsoft Defender for Endpointは、PC・スマートフォンなどの端末(エンドポイント)をリアルタイムで脅威から保護するセキュリティ機能です。 加えて、AIによる異常検知と、自動応答(XDR)機能により、脅威をすばやく検出し、調査や自動対応を行います。 これらの多層的な防御により、サイバー攻撃の被害を未然に防ぐことができます。 監査ログ・アラート機能 Microsoft 365には、監査ログやアラート通知の仕組みが備わっており、ユーザーや管理者の操作履歴やアクセスログを詳細に記録・監査することができます。 不審な動きや異常なアクセスが検出されると、即座にアラートが通知されます。 セキュリティインシデントの早期発見とトラブルシューティングに大きく役立ち、組織のデータやシステムの安全性を高い水準で維持できます。 セキュリティポリシーの管理 Microsoft 365では、Microsoft Intune管理センターやMicrosoft 365 Defenderポータルを活用して、組織のセキュリティポリシーを一元的に管理できます。 Intune管理センターは、Windows・iOS・Android・macOSなど、さまざまなOSに対応したデバイス管理が可能です。 セキュリティポリシーの配布やアプリの配信、OSの更新管理などを集中して行うことができ、業務の効率化と安全性の両立が図れます。 一方、Microsoft 365 Defenderポータルでは、メールやコラボレーションツールのポリシー設定・監視・アラート管理が可能です。 これらの機能を活用することで、ゼロトラストモデルの考え方に沿った高度なセキュリティ管理が実現します。 Microsoft 365のセキュリティ強化で最優先したい5つの対策 Microsoft 365のセキュリティ機能を最大限に活用するには、初期設定のままでは不十分です。ここでは、最優先で取り入れたい5つの強化対策を紹介します。 1.不正アクセスを防ぐ多要素認証(MFA)の導入 Microsoft 365のセキュリティ強化で最も推奨される対策の1つが、多要素認証(MFA)の導入です。 これは、従来のID(メールアドレス)とパスワードによる認証に加えて、SMSや認証アプリなど、複数の認証要素を組み合わせることで、不正アクセスやID・パスワードの漏えいによるリスクを大幅に低減します。 特に管理者アカウント(グローバル管理者)には必須とされており、組織全体でのMFA適用が推奨されています。 2.Microsoft Entra ID×MFAで強固なセキュリティ体制を構築 Microsoft 365では、Microsoft Entra

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